福井県から、日本の豊かな河川環境を未来に継承するための、希望に満ちたデジタル革命が進行中しています。福井県坂井市に本社を置く株式会社フィッシュパスと、国立大学法人福井大学(橘拓至教授、川上朋也准教授ら)が共同開発した、AIとローカル5Gを活用した「人物検知システム」は、河川管理の深刻な課題を解決し、「持続可能な河川DX」の実現に向けた大きな一歩を踏み出しました。
地方の課題:自然を守る「担い手」の未来
日本は「生物多様性ホットスポット」に選ばれるほど豊かな自然を持っていますが、その維持は容易ではありません。各地の内水面漁業協同組合(漁協)は、河川清掃やパトロール、稚魚放流といった重要な環境維持活動を担っていますが、組合員の高齢化や減少、遊漁料収入の減少により、その運営基盤が弱体化しているのが現状です。このままでは、管理が行き届かない河川が増え、日本の水産資源や生物多様性の維持に深刻な影響を及ぼしかねません。
この喫緊の課題に対し、フィッシュパスと福井大学は、ICTを活用した持続可能な河川管理システム(河川DX)の構築という、革新的な解決策を提示しました。
テクノロジーの力:場所を選ばない「ハイテク監視網」の実現
この革新的な人物検知システムは、河川への不法投棄防止や安全管理を目的として開発されました,。その最大の特長は、場所を選ばずに高度な監視体制を構築できる点にあります。
1. 可搬型ローカル5G「HYPERNOVA」の活用: 従来の通信インフラ整備が困難だった河川敷においても、NECネッツエスアイと東京大学が共同開発した可搬型ローカル5Gシステム「HYPERNOVA」を採用することで、問題を解決しました。このシステムは小型・省電力化が実現されており、電源を入れるだけで通信環境が利用可能となり、ローカル5Gの「高速大容量」「超低遅延」という特性を活かした高精細な映像伝送を可能にします。
2. プライバシーに配慮したエッジAI検知: 受信した映像はAIモデル(YOLOv8n)で解析され、人物を自動で検知します。小型計算機(NVIDIA Jetson Nano)を使用し、検知結果と画像のみを記録する仕組みを採用することで、個人のプライバシーに最大限配慮しつつ、人手に頼っていた監視業務の自動化・省力化を劇的に推し進めることができます。
地方を支える連携:福井の若き力が活躍
このシステムの有効性を検証するため、日野川漁業協同組合の協力のもと、2025年12月15日に福井県越前市の日野川河川敷で実証実験が実施されました。特筆すべきは、この重要な実験を、福井大学の工学部および大学院工学研究科の学生が中心となって実施したことです。地元の企業と大学が連携し、未来を担う若い力が地方の課題解決に貢献しています。
豊かな河川を未来へ繋ぐデジタルインフラ
今回の実証実験の成果を活かし、今後はシステムをさらに発展させ、「多段連合学習を用いた河川環境保全プラットフォーム」の構築が進められます。このデジタルインフラが確立することで、河川パトロール、ダム放水調整要請、稚魚放流、漂流物回収といった、多岐にわたる保全業務が効率化され、漁協の担い手不足解消を強力に支援します。
福井発のこの技術は、全国の河川管理のモデルケースとなる可能性を秘めています。地方の豊かな自然をデジタル技術で守り、未来社会へ確実に継承するための地方創生DXに、大きな期待が寄せられています。



■ 株式会社フィッシュパス
代表取締役:西村 成弘
所在地:福井県坂井市丸岡町熊堂3-7-1-16 福井県産業情報センター6F
事業内容:遊漁券のオンライン販売システム「フィッシュパス」の運営、河川環境保全事業
コーポレートサイト: https://fishpass.jp/
■ 国立大学法人福井大学
担当:工学系部門工学領域情報・メディア工学講座 教授 橘 拓至
所在地:〒910-8507 福井県福井市文京3丁目9番1号
研究に関するお問い合わせ:takuji-t@u-fukui.ac.jp
報道担当:広報センター https://www.u-fukui.ac.jp/cont_about/public/offer/