愛媛県今治市は、2026年7月9日、菊間町にて「菊間のエビ」養殖実証試験場の開所式を開催しました。かつて瓦づくりが行われていた工場が、エビを育てる施設へと生まれ変わりました。
その始まりは、一人の地域おこし協力隊員の挑戦でした。菊間地域で活動した藤原敏光さんが始めたエビの陸上養殖に、有限会社菊間衛生社が民間事業第一号として参入。さらに、太陽石油株式会社四国事業所から提供される排熱海水を活用するなど、地域資源を掛け合わせた新たな挑戦が始まっています。「菊間のエビ」という地域ブランドを育み、新たな価値を生み出す地方創生プロジェクトが動き出しました。
■ 「この瓦工場は、私には宝に見えました。」一人の挑戦が地域を動かした
「瓦の廃工場は、地域にとってはいらないものかもしれない。でも、私には宝に見えました。」と振り返るのは、今治市の菊間地域で活動している地域おこし協力隊員・藤原敏光さんです。
メカニカルエンジニアとして培った知識と技術を生かし、藤原さんは使われなくなった瓦工場や空き家に新たな可能性を見いだし、エビの陸上養殖への挑戦を決意しました。持ち運び可能な水槽を屋内に設置し、バナメイエビの養殖を開始。養殖したエビを地域イベントで販売したり試食会を重ねたりすることで「菊間のエビ」の認知度を高め、多くの人の共感を集めてきました。その挑戦が地域企業の心を動かし、今回の養殖実証試験場の開所と民間事業化へとつながっています。

■ 地域資源がつながり、新たな地域ブランドが誕生
菊間地域は、「菊間瓦」に代表される瓦産業や、600年続く伝統行事「お供馬の走り込み」、エネルギー産業など、それぞれの特色を活かした地域づくりが進められてきました。一方で、近年は住宅様式の変化などを背景に瓦需要が縮小し、使われなくなった瓦工場も見られるようになっていました。
今回、有限会社菊間衛生社は瓦工場跡地を養殖施設として再生し、太陽石油株式会社四国事業所から提供される排熱海水を活用した実証試験場を整備しました。陸上養殖によって飼育環境を徹底管理することで、「菊間のエビ」は薬品に頼ることなく安心・安全に育てられています。また、殻までやわらかく、丸ごと味わえることも大きな特徴です。
人の挑戦、瓦工場跡地、排熱海水、そして地域企業。それぞれの地域資源が結び付いたことで、おいしさと安全性を兼ね備えた新たな地域ブランドが誕生しました。

■ 「菊間といえばエビ」と呼ばれる未来を目指して
今後は、「菊間のエビ」のブランド化を進め、ふるさと納税の返礼品への展開や販路拡大を目指します。また、住民参画による養殖拠点の拡大、「瀬戸内陸上養殖ネットワーク」の形成、さらには観光資源としての活用など、地域全体へ広がる取り組みへと発展させていく予定です。
藤原さんは、「地域の皆さんを巻き込みながらここまで来ることができました。これからも温かく見守っていただきたい。そして、『菊間といえばエビ』と言われる地域を目指して取り組んでいきます」と未来への思いを語りました。

今治市は、この取り組みを一人の挑戦で終わらせることなく、「菊間のエビ」を核とした新たな地方創生モデルとして育て、地域企業や住民の皆さまとともに持続可能な地域づくりを進めていきます。
【関連情報】
○「エビ養殖で菊間の魅力を次世代へ…藤原敏光さん」(今治市移住・定住・交流ポータルサイト)
【関連サイト】
○今治市公式ホームページ
○今治市移住・定住・交流ポータルサイト「いまばり暮らし」
○今治市広報戦略プロジェクト